書き散らし

男子女学生

うそのかたまり

昨日友人と中華料理屋に行った。

手頃な価格で本場中国の料理人が作った中華を食べれると友人が言っていた。料理は友人が言っていた通りとても美味しかった。私は友人と2人での完食を想定し、餃子を注文した。

友人ととりとめの無い会話を楽しみながら餃子をつついていた。いつの間にか餃子は最後の1つになっていた。私も友人も残り1つとなった餃子を前に立ちすくんでいたが互いに牽制しあい事態は平行線をたどることとなった。

この状況を打開するために私は友人に語りかけた。

「こういう大皿料理の最後の一個のこと何て言うか知ってる?」

「え?なんか決まった呼び方でもあるんけ?」

「遠慮の塊って言うらしいよ」

刹那、隣のテーブルから怒号が聞こえた。驚いた私はそちらを振り向いた。そこには、青黒い髭を顔の下全体に這わせた大男が立っていた。男は私に尋ねた。

「お前はどこの人間だ」と。私は素直に自分の故郷の名前を伝えた。すると男は、黒く薄汚れた顔を紅潮させ怒鳴った。私と友人は萎縮した。そして男は何を勘違いしたのか皿に残っていた私と友人の大切な残り1つとなった餃子を煙草のヤニで黄ばみ不規則にならんだ歯が乱立する虚空に吸い込まれていった。

 

私と友人は大切な餃子を奪われたことに対する憤りと、男に気を取られ餃子を死守することを放棄した自信に対する怒りで精神に異常をきたしそうになった。

我々の敗北である。

しかし私は男がした行為は我々に対する侮辱だと感じた。絶対に許さない。