書き散らし

男子女学生

物語のように

先頭の景色というものは非常に面白く、座っているとすべてを見ることができる。私は、バスの一番先頭の座席が大好きだ。運転手の動き、降りていく人の動き、前方の交通の状況、大体のものを見ることができる。とりわけ、バスの運転手の動きは見ていて非常に興味深い。彼らの運転姿勢やハンドル捌き、停止中の様子を見ていると運転手ごとに違いがあり非常に面白い。一応断っておくが、私はそれらを凝視しているのではなく外の景色を見ていると自然と視界に入っているだけである。

そんな中で今日、変な人を見た。一見何の変哲もない女子高校生なのだがパスケースが変なのである。パスケースというとビニール製の薄っぺらいチンケなやつを思い出すだろうが彼女は違った。ミッキーマウスの手なのである。しかも彼女のそれはパスケースにしては非常識なまでに巨大で重厚なのである。まるでディズニーランドにいるミッキーマウスの着ぐるみから手だけ引きちぎたくらいの大きさだ。私はその巨大さに圧倒され思わず視線を手元の携帯電話にそらしてしまった。

今思うと、あれは私の見間違いかもしれないしもう少し小さかったのかもしれない。ただ、私は寝ぼけていただけなのかもしれない。