書き散らし

男子女学生

AIりんなは欲求不満

中学のころ

目にかからない程度でとお願いした。理容師はたしかに「はい」と言った。その後出来上がった髪型は眉上で綺麗に切り揃えられた坊っちゃんカットだった。

学校のおじさん先生からまことちゃんと名付けられた。

涙を流しがらグワシを練習しワカメをむさぼり食った。

 

高校1年のこと

理容師の人に「ぼく何年生?」と尋ねられた。「高1です」と答えた。そして「部活はもう決めたの?」と尋ねられた。「まだです」と返した。しばし沈黙があった。そして再び「部活何してるの」と尋ねられた。

話の聞けない理容師も増えたもんだと心の中で嘆いた。

 

昨年1月のこと

散髪に行った。床に落ちた髪の毛を眺めていた。理容師の人が「持って帰りますか?」と尋ねた。持って帰れるのかとなった。

 

テイクアウト時代もついにここまできたか。

 

昨年12月のこと

顔剃りをしてもらっていた。うとうとしていた。理容師の人の「あっ」という声と同時に上唇に刺激が走った。「いっ」と呟いた。その後何事もなかったかのように床屋をでた。多少の痛みはあったがほっておいた。家に帰りマスクをはずすと血がついていた。

 

昨日のこと

顔剃りをする前に落ちた髪をかたすために掃除用具を取りに行った理容師はふらっとし壁に手をついた。心配になり倒された椅子からその様子をしばしうかがっていた。理容師が戻ってきて「最近こんなのがよくある」と言った。そして「顔剃りの時になったら大変だ」と笑った。いい笑顔だった。写真を撮りたくなるような笑顔だった。が、それだけは本当にやめてくれと心の中で叫んだ。

 

かいたひ/忘れた