書き散らし

男子女学生

新しい傘をパクられたおはなし

それは春の冷たい雨の降る日だった。私はどうしてもとあるマンガを読みたくなった。私はそのマンガを買いに行くために近所のとある本屋に行った。本屋に入ると私は目当てのマンガが置いてある場所へ向かった。
無かった。欲しいマンガが無かったのだ。もしかしたらまだあるかもしれないと思いレジへ向かおうと思ったがそのマンガの内容を考えると聞くのは恥ずかしかった。また別の日に他の本屋へ行くと決め私は本屋を去ろうと思ったその時だった。私の目の先には一冊のマンガがあった。私はそのマンガに運命を感じた。奇抜なタイトルと表紙の絵。買わずにはいられなかった。買おうと決めたその時には既にレジの列へと並んでいた。
2分くらい待っただろうか。ついに私の順番が来た。
私はレジにマンガの「裏表紙を向けて」出した。そうすれば店員さんもスムーズにバーコードを読み込むことができるし、私も本の表紙を見られなくて済む。お互いwin winの関係にあると思ったからだ。ところが、店員さんは裏表紙に向けたマンガを表に向け、一瞬表紙と私の顔を見てすぐにバーコードを読み込んだ。私の読みは外れた。ことごとく外れた。こんなハズじゃ無かったのにチクショーと思ったが過ぎた事を悔やんでも仕方無いと思いさっさと会計を済ませることにした。私は店員さんに言われた値段659円ぴったり出した。しかし店員さんが50円足りないと言ってきたのだった。よく見ると100円玉と50円玉を見間違えていたのだった。
私は恥ずかしかった。私は足りなかった50円を支払おうと思ったが財布の中には小銭が無かった。仕方無く財布から英世をを出した。会計は終わった。ついでに私の人生もすこし終わった。
帰ろうと思ったが私のピカピカのビニール傘を刺してあった傘立てには来たときは見かけなかった柄の割れたカピカピでヨレヨレのビニール傘があった。
なんと、私の傘がパクられたのだ。私は悲しかった。犯人は知らないがきっとカピカピの趣味の悪いビニール傘を使ってた人だろうと思った。私は傘を諦めた。
その日は春の冷たい雨が降る日だった。私を慰めるように雨は静かに降り続けた。
翌日風邪を引き、マンガを買った数日後に父親にそのマンガの存在がバレ借したのはまた別の話。